仮想通貨取引サービス「コインチェック」で580億円分のネムが不正流出したのが大きなニュースになっています。
私は、仮想通貨はまだ持っていなかったのですが、一体どんなものなのかと興味があって、ちょうど、コインチェックのCOO大塚雄介氏の「いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン」を読んでいるところでした。
今回の事件も、とても関心をもって注視しています。
ビットコインと仮想通貨の基本がわかる良書
この本は、基本的にビットコインに関して説明するものなのですが、ビットコイン以外のブロックチェーンを利用した仮想通貨についても基本的なことがとてもわかりやすく書いてあります。
技術的な部分についても、極力わかりやすい表現を使いながら説明してくれているので、素人の私にも何となくイメージができました。
しかし、著者がいうほど安全なのか
この本は、ビットコインは、高い暗号技術を用いた安全性の高いもの、国家を超えて安価に使える便利なもの、近未来の便利な決済手段であるという印象を与えます。
ただ、やはり、著者が仮想通貨取引サービスのCOOという立場であることは、割り引いて考えなくてはならないと思います。
著者がいうほど、安全なものなのか。
著者がいうほど、簡単に取引に参入してよいものなのか。
少し疑いながら読まなくてはならない本であろうと思います。
それが今回のネムの事件にもつながるように思います。
マウントゴックス事件
この本は、2014年に起きたマウントゴックス事件についても触れています。
マウントゴックスという大手の取引所で、当時の価値で45億ドル相当のビットコインが消えたという事件です。
これについて、著者は、当時はまだ取引所も黎明期で、セキュリティに関する社内の運用や体制ができていなかったのであろうと説明しています。
これに対して、現在は、取引所も安全性は死活問題なので、何重にもセキュリティをかけていると。
そして、顧客から預かった資産は、オンラインにおいているのは数%で、残りはオフラインに保管した上、複数の人間が承認しないとオンラインに送金できない体制になっていると。
今回不正流出したネムについて
しかし、CNETの記事によれば、今回不正流出したネムは、常時オンラインに置かれていたようです。
同社のビットコインウォレットなどはマルチシグ(複数の秘密鍵を使用することでセキュリティを向上させる技術)を実装したコールドウォレット(インターネットから切り離されたウォレット)を採用していたが、ネムに関してはマルチシグを実装していないホットウォレット(インターネットに常時接続されたウォレット)だったという。
出典:
コインチェック、580億円分のネムが不正流出--取引再開や補償は未定 - CNET Japan
本で説明されていたセキュリティの体制は、ネムには適用されていなかったのですね。
私は、この本を読んで、コインチェックで仮想通貨取引を始めるのもいいかもしれない、と少し考えていたところだったので、この事実はものすごい衝撃でした。
ビットコインだけが安全に保管されていて、他のコインはそうでもないなら、誤解の内容に書いといてほしいところです。
取扱いコインはどれも当然同じように扱われていると思っていたので、ちょっと騙されたという気持ちもあります。
まだ口座開設もしていませんので、私には何も言う権利はありませんが。
ネムの事件の今後
一番悪いのはネムを不正に盗んだ人です。
脇の甘い部分があったとはいえ、コインチェックも被害者となりますし、被害額も大きいので気の毒には思います。
でも、一番気の毒なのは、もちろん、ネムを預けていた顧客の方々です。
もし、コインチェックが倒産という話になれば、ネム以外の仮想通貨を保有する顧客も影響を免れないでしょう。
顧客にきちんとお金が戻る形で、早く解決することを祈るばかりです。